申し込みでキャッシング枠を付けるか決める
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クレジットカードの申込書には、ショッピング枠とは別にキャッシング枠を希望するかどうかの欄があります。
「とりあえず付けておく」と選びがちですが、希望すると審査に別の法律が加わります。このページは金融庁と日本貸金業協会の公開資料と条文をもとに、その違いを整理します。
同じカードの中に2つの規制がある
1枚のカードでも、使い方によって適用される法律が変わります。金融庁の説明です。
クレジットカード会社は、「貸金業者」として「貸金業法」に基づき、金銭の貸付けを行います。
一方、買い物のほうは扱いが違います。
ショッピング取引については、「貸金業法」は適用されません(リボ払い、分割払い、ボーナス払いには、別途「割賦販売法」が適用されます。)。
ショッピング(一括・リボ・分割)
- 割賦販売法
キャッシング(現金の借入)
- 貸金業法
違うのは根拠になる法律
カードは1枚でも、審査は2種類ということです。
キャッシング枠だけが総量規制の対象
貸金業法の総量規制で、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えると、新たに借りられなくなります。日本貸金業協会は具体例を挙げています。
例えば、年収300万円の方が貸金業者から借入れできる合計額は、最大で100万円となります。
他社のキャッシングやカードローンの残高と合算されるので、すでに借入がある場合、希望した枠が付かないことがあります。
審査で調べられることで扱った「支払可能見込額(いくらまで払えるかの見込み)」は割賦販売法の側の仕組みで、こちらとは別の計算です。名前が似ていて混同されますが、根拠になる法律から違います。
枠を希望すると何が変わるか
キャッシング枠を希望した場合、貸金業法にもとづく審査が加わります。信用情報をCICで開示して読むで見たとおり、CICは「貸金業法に基づく登録情報」を日次で更新しています。割賦販売法にもとづく情報が月次なのと比べて、動きが速い区分です。
つまりキャッシング枠を希望すると、
- 他社の借入残高が年収の3分の1に収まっているかを見られる
- 収入を証明する書類の提出を求められる場合がある
- 記録の更新頻度が高い区分に情報が入る
使う予定がないなら、希望しないという選択があります。
後から0にできる
申し込みのときに付けてしまっても、キャッシング枠は後から0にできます。出光クレジットのFAQの回答です。
キャッシング利用限度額を0にすることは可能です。
手続きはカード名義の本人から会員サービスデスクへ連絡する形と案内されています。
逆に、後から付けたい場合も申し込みができます。どちらの方向にも変えられるので、迷ったら使う予定ができてから付けるほうが、審査の材料を増やさずに済みます。
なお家族カードのキャッシングは、本人会員の申し出が必要で、本人会員の利用可能額の範囲内という扱いになっています。
「年収の3分の1」は条文でどう書かれているか(貸金業法13条の2第2項)
条文の基準は「年収」ではなく、「給与及びこれに類する定期的な収入」の3分の1です。何がこれに当たるかは内閣府令で決まっていて、自分で決められる範囲ではありません。
貸金業法13条の2第1項は、返済能力を超える貸付けの契約を結ぶことを禁じていて、その1つが「個人過剰貸付契約」です。2項の定義の中で、基準額は「その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額」と書かれています。一時的な収入をそのまま足して計算すると、実際の枠と食い違います。
もう1つ、個人過剰貸付契約の定義には「及び極度方式貸付けに係る契約を除く」とあります。カードのキャッシング枠は極度方式なので、この定義そのものからは外れます。ただし野放しではありません。極度方式には別の条文(基準額超過極度方式基本契約に係る調査)があり、定期的に残高と基準額を突き合わせます。規制が無いのではなく、当てはめ方が違うということです。
何が「これに類する定期的な収入」なのか(貸金業法施行規則10条の22第1項)
給与のほかに入るのは、年金、恩給、不動産の賃貸収入、事業所得です。内閣府令は貸金業法施行規則で、10条の22第1項が挙げています。
10条の22第1項を開く
法第十三条の二第二項に規定する年間の給与に類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものは、次に掲げるものとする。一年間の年金の金額二年間の恩給の金額三年間の定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く。)の金額四年間の事業所得の金額(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る。)
不動産の賃貸収入は事業として行う場合が外れ、事業所得は過去の状況に照らして安定的と認められるものに限られます。一時的に入ったお金は、ここには出てきません。
賞与の扱いは、算出の方法で変わる(同条2項2号と3項)
給与明細などを使って算出する方法では、そのままだと賞与は入りません。ただし過去1年以内の賞与を書面で確認できたときは、含めることができます。金額の出し方は同じ10条の22の2項にあり、給与明細などを使う方法がこれです。
10条の22の2を開く
第十条の十七第一項に規定する書面等(同項第三号に掲げる書面に係るものに限る。以下この条において同じ。)に記載されている直近の二月分以上の給与(賞与を除く。)の金額の一月当たりの平均金額に十二を乗じて算出する方法
直近2か月以上の給与の平均に12を掛けるので、そのままでは賞与が落ちます。続きは10条の22の3項です。
10条の22の3を開く
前項第二号に掲げる方法により年間の給与の金額を算出する場合において、第十条の十七第一項に規定する書面等によつて、過去一年以内の賞与の金額を確認したときは、当該賞与の金額を年間の給与の金額に含めることができる。
条文は「できる」なので、必ず含まれるとは書かれていません。賞与の比率が大きい働き方の場合、どの方法で算出されたかで基準額が変わります。
総量規制がかからない借入もある
「年収の3分の1」は、貸金業者からの借入にだけ当てはまります。日本貸金業協会の説明です。
貸金業者に該当しない銀行などが行うローンや、信販会社の販売信用(ショッピングクレジット)は総量規制の対象にはなりません。
住宅ローンや自動車ローンを銀行で借りていても、それがキャッシング枠の総量規制の計算に入るわけではありません。「借金があるから枠が付かない」と一括りにはできないということです。
一方で、これは総量規制の話に限られます。割賦販売法の側の「支払可能見込額」では、住宅ローンなどの支払いは生活維持費とあわせて年収から差し引く形で計算に入ります。
「枠が余っている」ことの意味
キャッシング枠は、使っていなくても借りられる状態として存在します。他社の審査では、借入残高だけでなく契約そのものが照会の対象になります。クレジットカードの限度額はどう決まるかで見たとおり、限度額の増額にも法令上の天井があり、そこには他社の状況が入ります。使わない枠を持ち続けることに費用はかかりませんが、将来ほかのカードやローンを申し込むときに、材料の一つになります。
ただし「枠があると必ず不利になる」とは書けません。各社の審査基準は公表されていないので、当サイトはそこを断定しません。言えるのは、総量規制が残高ではなく借入可能額を含めて設計されていることと、使う予定がないなら持たない選択ができることです。
金利そのものの上限は別の条文が決めています。キャッシングの金利上限は3段階で決まるにまとめました。
条件が文章で出ているカードを見る
枠を付けるかどうかは、申し込む前に決めることです。年会費が公式サイトにテキストで明示されているカードとして、このサイトではリクルートカードを載せています。発行手数料と年会費が無料で、2年目以降も無料と書かれているものです。通るかどうかは分かりません。確かめられるのは条件のほうだけです。
申込書の年収欄の書き方は申込書の年収欄はどう書くのかにまとめています。apollostation の申込条件はapollostationカードの審査と申込条件にあります。
枠を付けないと、不正利用されたときの補償の対象外になる行が1つ減ります。そちらは不正利用されたときに決まっていることにまとめました。
なお、根拠になる法律が違うということは、監督する役所も違うということです。どちらがどこになるかはクレジットカードの監督官庁の分かれ方で整理しました。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 8件
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- 4件(法令 1)
- 公開
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。