給油カードの審査ガイド

クレジットカードの審査で調べられること

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2026/8/1公開

「クレジットカード 審査」で検索すると、年収や勤続年数の目安が数字で並んでいます。ただし、その数字の出どころが書かれていることはほとんどありません。

カード会社は与信の判断基準を公表していません。審査基準は各社の裁量に属していて公表されていないため、外から確かめる方法がありません。したがって、目安として並んでいる数字は誰かの推測です。

一方で、何を調べなければならないかは法律で決まっています。そこは公開されているので、確かめられます。この記事はそこだけを扱います。

条文そのものを読む(割賦販売法30条の2)

カード会社が調べなければならないと条文が名指ししているのは、年収・預貯金・クレジット債務の支払状況・借入れの状況の4つです。勤続年数も、住居の形態も、条文には出てきません。

調査の義務は割賦販売法30条の2の1項にあります。

割賦販売法30条の2の1を開く

年収、預貯金、信用購入あつせん(包括信用購入あつせん及び個別信用購入あつせんをいう。以下同じ。)に係る債務の支払の状況、借入れの状況その他の当該利用者の包括支払可能見込額を算定するために必要な事項として経済産業省令・内閣府令で定めるものを調査しなければならない。

「調査しなければならない」と書かれています。任意ではありません。勤続年数や住居の形態を見ているかどうかは各社の裁量で、公表されていません。

次に、算定する「包括支払可能見込額(いくらまで払えるかの見込み)」そのものの定義です。ここが要で、同じ30条の2の2項にあります。

30条の2の2を開く

この節において「包括支払可能見込額」とは、主として自己の居住の用に供する住宅その他の経済産業省令・内閣府令で定める資産を譲渡し、又は担保に供することなく、かつ、生活維持費(最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用として経済産業省令・内閣府令で定める額をいう。第三十五条の三の三において同じ。)に充てるべき金銭を使用することなく、利用者が包括信用購入あつせんに係る購入又は受領の方法により購入しようとする商品若しくは指定権利の代金又は受領しようとする役務の対価に相当する額の支払に充てることができると見込まれる一年間当たりの額をいう。

長い条文ですが、除外されているものが2つはっきり書かれています。

  1. 住んでいる家を売ったり担保に入れたりして作る金は数えない
  2. 生活維持費に充てるべき金は数えない

つまり支払可能見込額は「年収」ではありません。家を手放さず、生活を維持したうえで、なお支払いに回せる年額です。年収が同じでも、扶養家族の数や住宅ローンの有無で変わるのはこのためです。政府広報オンラインも、支払可能見込額を1年間当たりの金額として説明しています。日常の生活を維持しながら、クレジット債務を持続的に払えると見込まれる額です。審査は「いくらまで貸してよいか」ではなく、「生活を壊さずに払い続けられる年間の金額」を出す作業です。

生活維持費は自分で決める額でもありません。条文が「最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用として経済産業省令・内閣府令で定める額」と書いているとおり、省令で決まっています。

計算に入るもの

支払可能見込額の計算は、年収から生活維持費とクレジット債務を引くところから始まります。

経済産業省の説明です。

支払可能見込額は、基本的には年収から生活維持費、クレジット債務などを除き、返済履歴、商品の担保価値など様々な要素を総合的に勘案して、算定されることになります。

出発点の引き算を表にしました。

項目中身
年収申込者の申告が出発点
−生活維持費世帯人数と持家の有無などをもとに、省令で金額が定められている
−クレジット債務指定信用情報機関に登録されている他社の残高

年収以外の2つは、申込者が自由に書けるものではありません。生活維持費は法令の表で決まり、他社の債務は照会先の記録から取られます。申込書の書き方で動かせる部分は年収欄しかない、という構造になっています。

その法令の表は割賦販売法施行規則の別表第二で、金額は90万円から240万円までの範囲です。生計を一にする人の数と、住宅ローンや家賃を負担しているかどうかで決まります。表そのものと、世帯人数や住居の欄を空けたときの扱いはクレジットカードの申込書の年収欄はどう書くのかに載せました。

限度額には上限がある

限度額は、支払可能見込額の9割が上限です。出た額がそのまま限度額になるわけではありません。

包括クレジット:支払可能見込額の90%を超えない範囲の利用限度額のクレジットカードを発行します。

ここは各社の裁量ではなく、法令が置いている天井です。

この天井は、発行のときだけでなく更新のときにも効きます。詳しくはクレジットカードの限度額はどう決まるかにあります。希望した限度額より低い金額で発行されることがあるのは、社内の判断だけでなくこの上限が効いている場合があります。

翌月一括払いだけのカードは対象外

翌月一括払いしかできない契約には、過剰与信防止義務がかかりません。この義務は、支払いが2か月を超える取引にかかるものだからです。

商品の購入から支払いまでが2か月を超えない支払い(翌月一括払いなど)は、過剰与信防止義務の適用はありません。

ここから分かるのは、「審査」と一口に言っても、法律が要求している調査と、カード会社が自社の判断でやっている確認は別物だということです。前者は公開されていて、後者は公開されていません。

「審査なし」と書かれていたら

この例外があるので、「審査なし」という言い方が出てくることがあります。ただし、それが指しているのは法律上の調査義務が無いことであって、カード会社が何も見ないという意味ではありません。

条文は義務の下限を決めているだけで、上限を決めていません。義務が無い契約でも、会社は自社の基準で判断できます。

本当に与信そのものが無いのは、デビットカードやプリペイドカードのように後払いでない仕組みのほうです。こちらは立て替えが発生しないので、支払可能見込額を調べる場面がありません。ただし規制する法律が別なので、使わなくなった残高の扱いも変わります。プリペイド式給油カードの残高は原則払い戻されないにまとめました。

給油に使う目的なら、この違いは実際に効きます。後払いのカードでしか受けられない値引きがあるためで、条件はガソリンカードの「最大7円/L引き」に届く人にまとめました。

なお、事業のために使う契約には、この章の規定が適用されません。調査の義務も、読者を守る決まりも一緒に外れます。詳しくは法人・個人事業主のガソリンカードは割賦販売法の対象外になるにまとめました。

極度額が10万円以下だと、別の枠に入る(35条の2の3)

極度額が10万円以下のカードは「登録少額包括信用購入あつせん業者」が扱う枠に入ります。30条の2が外れるので、包括支払可能見込額の計算も、9割の上限も当たりません。ただし信用情報機関への照会は、こちらでも義務です。

10万円の線は割賦販売法施行令24条が引いています。そして35条の2の3の2項が、上で読んだ条を丸ごと外します。

第三十条の二、第三十条の二の二、第三十条の二の四及び第三十条の五の三から第三十条の六までの規定は、登録少額包括信用購入あつせん業者については、適用しない。

外れるのは計算のほうで、照会ではない

代わりに35条の2の4が「利用者支払可能見込額」の算定を求めます。名前は似ていますが、別のものです。算定の方法は登録のときに届け出たもので、法令が式を決めている包括支払可能見込額とは違います。

そのうえで、35条の2の4の2項にこう書かれています。

登録少額包括信用購入あつせん業者は、利用者支払可能見込額を算定するために必要な事項の調査を行うときは、指定信用情報機関が保有する特定信用情報を使用しなければならない。

信用情報機関の照会は、こちらでも義務です。 極度額が小さいから記録を見られない、ということにはなりません。算定した額を超える極度額でカードを出すことも、35条の2の5が禁じています。

後払い決済のアプリやサービスで、極度額が数万円のものはこの枠に入ることがあります。枠が違うだけで、信用情報に残るかどうかは変わりません。記録の側の仕組みは信用情報をCICで開示して読むにまとめました。

会社によって計算のしかたが違う場合がある

2020年の法改正で、法令の計算式の代わりに、会社が自社の与信審査手法を使える方式が用意されました。対象は一定の基準を満たして認定を受けた会社で、事前・事後のチェックで過剰与信を防ぐことが前提です。

ただし、緩くなるわけではありません。経済産業省は、この方式でも利用者ごとの与信限度額を算定し、その範囲で与信を行うよう求めています。算定の記録を作成・保存することと、指定信用情報機関の信用情報を照会・使用することも必要です。指定信用情報機関(法律にもとづく機関)への照会は、どちらの方式でも変わりません。会社ごとに違いうるのは算定の手法です。

「A社は通ってB社は落ちた」という状況が起きうる理由の一部はここにあります。どちらの方式を採っているかは会社ごとに違い、審査の手法も公表されていません。

総量規制とは違う

年収の3分の1という数字を思い浮かべた方もいるかもしれませんが、それは貸金業法の総量規制です。クレジットカードのショッピング枠には、その形の一律規制はかかりません。

割賦販売法の支払可能見込額調査では、消費者のクレジット利用の利便性を考慮し、一律の規制(総量規制)を行うこととはしていません。

同じ「借りる」ように見えても、根拠法が違うと計算のしかたが違います。キャッシング枠のほうは貸金業法の総量規制がかかります。1枚のカードの中で、ショッピング枠とキャッシング枠に別の物差しが当たっていることになります。

ここまでで分かること

  • 審査で調べる項目は法律で決まっていて、公開されている
  • そのうち申込者が申告するのは年収で、他社の債務は照会される
  • 限度額は支払可能見込額の9割が天井
  • 翌月一括払いのみの契約には過剰与信防止義務がかからない

分からないままなのは、集めた情報をカード会社がどう重み付けしているかです。そこは公表されていないので、この先も推測しかできません。

推測できない代わりに、できることがあります。カード会社が照会する記録は、本人も同じものを取り寄せて読めます。自分の側に何が登録されているかは、申し込む前に確かめられます。

続きは信用情報をCICで開示して読む手順にまとめました。

具体的なカードで年会費や発行までの日数を比べる段階に来たら、アポロステーションカードの申込と年会費に発行会社の公表内容をまとめています。

この調査義務を守らなかったときに何が起きるかは、割賦販売法の別の場所に書かれています。報告徴収から登録の取消しまでの順番はクレジットカードの監督官庁が動く順番にまとめました。

携帯電話の端末を分割で買う場合も割賦販売にあたりますが、義務のかかり方が違います。どちらの類型に入るかで、調べる側の義務が変わります。携帯の分割は審査の義務がカードと違うに分けて書きました。

なお、この調査義務そのものがかからない給油カードもあります。カード会社ではなく協同組合が出すもので、代わりに組合への加入の承諾が入口になります。条文との対応はガソリンカード審査なしの正体は組合への出資にまとめました。

この記事で確かめたこと

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