クレジットカードの不正利用で決まっていること
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身に覚えのない請求が明細に出ていたとき、何がどこまで決まっているのかを見ておきます。補償の根拠は法律ではなく、カード会社の会員規約です。
法律が決めているのは事業者側の管理義務
割賦販売法が決めているのは、カード番号を扱う事業者が番号を守る義務です。利用者にいくら戻るかは決めていないので、補償の中身は会員規約を見ることになります。
割賦販売法35条の16は、カード番号等取扱業者に番号の管理を義務づけています。経済産業省令の基準に従って、漏えい・滅失・毀損を防ぐ措置を取る義務です。対象はカード会社だけでなく、カードを扱う加盟店も含まれます。
その「基準」は施行規則132条にある
基準は割賦販売法施行規則132条が5つ挙げていて、読者にいちばん関わるのは二号と三号です。漏えいの「おそれ」がある段階から、調査と、番号を使わせない措置が義務になります。
施行規則132条の二号です。
施行規則132条を開く
クレジットカード番号等取扱業者において漏えい等の事故が発生し、又は発生したおそれがあるときは、直ちに当該事故の状況を把握し、当該事故の拡大を防止するとともに当該事故の状況に応じて速やかに、その原因を究明するために必要な調査(当該事故に係るクレジットカード番号等の特定を含む。)を行うこと。
「発生したおそれがあるとき」も含まれています。実際に漏れたと確定する前から、状況の把握と拡大の防止、原因の調査が義務になります。
三号は、そのあとにすることです。番号を渡した会社は、本人以外がその番号で買い物をできないようにする措置を取らなければなりません。
ここで扱っているのは割賦販売法が定める「カード番号」に絞った管理義務です。氏名や住所を含む個人データ全般が漏えいしたときの、委員会への報告や本人への通知は別の法律(個人情報保護法26条)が定めています。カード会社の情報漏えい、通知義務は法律にあるにまとめました。
漏えいの連絡と同時にカードが止まり、番号が変わって再発行されるのは、会員規約のサービスであると同時に、この三号が求めている措置でもあります。「まだ被害が出ていないのに止められた」という形になるのは、二号が「おそれ」の段階を含んでいるからです。
加盟店には、不正利用を防ぐ義務が別に置かれている(35条の17の15)
35条の17の15は、販売業者と役務提供事業者、つまりカードを受け付ける店の側に義務を置いています。経済産業省令の基準に従って、番号の不正な利用を防ぐ措置を取る義務です。番号を漏らさないことだけでなく、使われる場面で止めることも義務になっています。
ここでも、利用者にいくら戻るかは決めていません。
出光クレジットは61日前まで遡ると書いている
出光クレジットが損害金を負担するのは、紛失・盗難を届け出た日を含めて61日前以降の不正利用です。起点は届け出た日で、気づいた日でも、使われた日でもありません。
apollostation card を発行している出光クレジットの、紛失・盗難のページの記載です。
紛失・盗難のお届けをされた日を含め61日前にさかのぼり、その日以降に不正利用された際の損害金は、出光クレジット(株)が会員規約に基づいて負担させていただきます。
つまり届出が遅れるほど、遡れる範囲の外に出る取引が増えます。明細を見る間隔が2か月を超えていると、この61日を使い切ることになります。
除かれるものが書いてある
キャッシングの利用、故意による場合、カード裏面にサインが無い場合は、補償から除かれます。文末が「など」なので、これで全部とは限りません。
(キャッシングのご利用および、故意や出光カード裏面 にサインがない場合などは除きます。)
キャッシングの利用
- 現金の借入は対象外
故意による場合
- 自分で使わせた場合
カード裏面にサインが無い場合
- 署名欄が空欄のまま使っていた場合
除かれる条件は自分側の事情にも及ぶ。署名欄を空欄のままにしていたかどうかで変わる
署名欄が空欄だと対象外になる、と書かれています。受け取ってすぐ書くもので、あとから書いても意味がありません。
キャッシング枠を付けるかどうかの判断は申し込みでキャッシング枠を付けるか決めるにまとめました。枠を付けなければ、この行はそもそも関係しなくなります。
ネットで番号だけ使われた場合
カードが手元にあって番号だけ使われた場合も、店頭で使われた場合と扱いは分けられていません。ただし損害金は「状況内容に応じ検討・対処」で、届け出れば自動で全額が戻る、という書き方ではありません。
紛失・盗難のページはカードそのものが無くなった場面を前提にしているので、この場合は出光クレジットの公式FAQを見ます。
オンライン取り引きにかかわらず、第三者がお客様のカードを故意に不正利用した場合につきましては、お電話にて状況を確認のうえ、損害金につきましては、状況内容に応じ検討・対処させていただきます。
上の61日は遡れる範囲の話で、その範囲に入っていることと、会社が損害金をどう扱うかは別に書かれています。
連絡する人も指定されています。
お心当たりのないご請求がございましたら、弊社にて調査を行いますので、お手数ではございますが、カード名義のご本人様より、出光カード会員サービスデスクへご連絡ください。
連絡するのは「カード名義のご本人様」です。明細を見ている人と、名義の人が違う場合に効いてきます。
手順は4つに分かれている
気づいたら、電話でカードを止め、警察へ届け出て、補償と再発行に進みます。紛失・盗難のページが示す順番です。
- 出光クレジットへ電話する
ご連絡の後、不正利用防止のため、カードを無効にさせていただきます。
- 警察へ届け出る
最寄りの警察署・派出所へ必ずお届けください。
- 保険の適用(上の61日の話)
- カードの再発行
2が「必ず」と書かれています。 警察への届出は任意ではなく、手順の一部です。届出の有無が、あとで補償の判断に関わることになります。
伝える内容も指定されていて、氏名・会員番号・盗難や紛失の日時と場所、同時に無くしたもの、カードの最終利用日と場所が挙げられています。最終利用日を思い出せるかが、その場で効きます。
警察署はどこでもよく、被害届は警察の側が書く
警察署は、カードが使われた場所の管轄でなくても届け出を受けてもらえます。被害届も自分で作って持っていくものではなく、その場で記入を求められるか、警察官が代わりに書きます(犯罪捜査規範61条2項)。
受理する義務は犯罪捜査規範61条1項にあります。
警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
住んでいる場所と、カードが使われた場所は違うことがあります。それでも管轄を理由に断ることはできません。最寄りの警察署でよい、という案内はここと合っています。
だから先に用意するのは、書類ではなく答えられる中身です。カード会社に伝える内容がそのまま使えます。明細を印刷して持っていくと、日付と店名をその場で読めます。
気づく仕組みを先に作っておく
61日という線がある以上、気づくのが早いほど範囲に収まります。
- 明細をウェブで見る設定にしておく
- 利用のたびに通知が来る設定があるなら入れておく
- 引き落とし額だけでなく、明細の中身まで見る
引き落とし額しか見ていないと、少額の不正利用は気づきません。試しに数百円を通してから大きく使う、という順序が知られています。
引き落としに間に合わなかった場合の扱いはクレジットカードの支払い遅れで何が起きるかにまとめました。
「61日前」の数え方を具体的にする
日付で置いてみます。届出をした日が10月1日なら、遡れるのは8月2日までです。8月1日以前に使われた分は、この記載の範囲の外になります。
| いつ届け出たか | 遡れる範囲 |
|---|---|
| 使われた翌日に届出 | ほぼ全部が範囲に入る |
| 1か月後に届出 | まだ範囲に入る |
| 3か月後に届出 | 最初の1か月分が範囲の外に出る |
引き落としは利用のおよそ1〜2か月後に来ます。引き落とし額を見て初めて気づく形だと、この表の下のほうに近づきます。
明細をウェブで見る設定は、ねびきプラスサービスの登録条件にもなっています。ウェブ明細を解除するとオプションも解約になる、と公式に書かれていました。経緯はねびきプラスは年会費550円の元が取れるかにまとめました。
家族カードの場合はどう見るか
家族カードは本会員の契約に付くものなので、利用分の請求も本会員に来ます。一方で公式FAQは、身に覚えのない請求について「カード名義のご本人様より」連絡するよう書いています。請求が来る先と、連絡する人が同じとは限りません。
同居している家族が使った場合が「不正利用」にあたるかは、規約の書き方によります。出光クレジットのページには、故意による場合が除かれると書かれています。家族に渡して使わせた場合は、この行に近づきます。
家族カードの発行条件はアポロステーションカードの申込と年会費にまとめました。
明細に出た知らない名前を確かめる
不正利用だと決める前に、加盟店名の表示を確かめる手があります。店の屋号と、請求に出る名称が違うことがあるためです。
不正利用が疑われる場合は、調べるために連絡を遅らせず、カード会社へ相談してください。
止めたあとに起きること
カードを無効にすると、その番号での決済は止まります。公共料金や通信料など、カード払いにしているものがあれば、再発行後の番号へ登録し直すことになります。
登録し直しを忘れると、次回の支払いができないおそれがあります。遅れが異動(いわゆるブラックリストにあたる記録)として残るかどうかは日数によります。読み方はブラックリストの確認は異動欄を見るにまとめました。
止める判断と、止めたあとの付け替えはセットです。どこにカード番号を登録しているかを、平時に一覧にしておくと動きが速くなります。
支払停止の抗弁とは別のもの
似た場面に、買ったものが届かない場合の支払停止があります。そちらは割賦販売法30条の4の話で、根拠も条件も別です。
不正利用
- 根拠は会員規約
- 自分が使っていない取引
- 金額の下限は規約による
支払停止の抗弁
- 根拠は割賦販売法30条の4
- 自分が買ったが商品が届かない等
- 支払総額4万円未満は対象外
違うのは根拠が法律か規約か。使う場面も、自分が使っていないか、買ったものが届かないかで分かれる
条文のほうは支払停止の抗弁とカード会社への対抗にまとめました。どちらの話なのかを先に分けると、連絡する窓口も変わります。
関連:暗証番号の照会
手元のカードが読み取れないだけの場合は、磁気不良・破損の再発行として状況を伝えます。紛失や不正利用とは窓口と対応を分けてください。
この記事で確かめたこと
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