給油カードの審査ガイド

クレジットカードの監督官庁は2つある

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2026/9/1公開

カードのことで困って問い合わせ先を調べると、金融庁の名前が出てきます。ところが割賦販売法の条文に金融庁は出てきません。

出てくるのは経済産業大臣と内閣総理大臣で、しかも後者はそのまま動くわけではありません。つまり監督官庁は2つあることになります。

内閣総理大臣の権限は消費者庁へ渡る

条文に書かれているのは内閣総理大臣ですが、実際に動くのは消費者庁です。経済産業大臣の側は、実務では経済産業局が窓口になります。

内閣総理大臣の権限は、割賦販売法48条2項で委任されています。

内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。

条文だけを読んで問い合わせ先を探すと、ここでずれます。

経済産業大臣の側は48条1項で地方支分部局の長に行わせることができるとあります。

キャッシングは別の法律になる

ここで金融庁が出てくる場面もあります。同じカードでも、ショッピングとキャッシングでは根拠になる法律が違うためです。

ショッピング(一括・リボ・分割)

  • 割賦販売法

キャッシング

  • 貸金業法

違うのは根拠の法律。だから問い合わせ先も、使い方によって変わる

監督官庁が分かれるのは、根拠になる法律が違うため

貸金業法の監督は財務局と金融庁です。同じ1枚のカードで、話す相手が変わります。枠が別々に設定されている理由はキャッシング枠にまとめました。

登録されているかは、誰でも確かめられる(31条・33条の4)

カード会社が登録を受けているかは、誰でも監督官庁の側で確かめられます。登録簿の閲覧と、処分の公示が条文で決まっているためです。

入口の登録は31条です。

31条を開く

包括信用購入あつせんは、経済産業省に備える包括信用購入あつせん業者登録簿に登録を受けた法人(以下「登録包括信用購入あつせん業者」という。)でなければ、業として営んではならない。ただし、第三十五条の三の六十第一項第四号の団体については、この限りでない。

登録を受けた法人でなければ、業として営めません。そしてその登録簿は、閉じられたものではありません。33条の4です。

経済産業大臣は、包括信用購入あつせん業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならない。

「一般の閲覧に供しなければならない」と書かれています。

処分のほうは34条の4が、登録の取消し、業務の全部または一部の停止、登録の消除の3つを公示するよう定めています。申し込む前に確かめられるのは、条文がそこまで決めているからです。

動く順番が決まっている

監督は、報告徴収、立入検査、改善命令、登録取消・業務停止、刑事罰の順に進みます。いきなり処分から始まるわけではありません。

まず40条3項で、経済産業大臣が業務の報告や帳簿・書類の提出を命じます。報告で足りなければ、41条1項で職員が営業所や事務所に立ち入って検査します。立入検査の相手には、国が指定した機関である指定信用情報機関も入っているので、信用情報を持っている側も検査の対象です。

そのうえで34条が改善命令、34条の2第2項が登録の取消しか1年以内の業務停止です。そして51条3号で、業務停止などの命令に違反したときに刑事罰が来ます。

段階条
報告徴収40条3項
立入検査41条1項
改善命令34条
登録取消・業務停止34条の2第2項
刑事罰51条3号

51条で名指しされているのは、会社ではありません。条文は「代表者、代理人、使用人その他の従業者」と書いていて、命令に違反する行為をした人が罰を受ける形になっています。組織として決めたことでも、罰は人のほうに向きます。

調査そのものには直罰が無い

順番を追うと分かることがあります。調査をしなかったこと自体に、直接の罰金は定められていません。

クレジットカードの審査で調べる支払可能見込額(年収から生活費などを差し引いて、1年間にいくらまで払えるかを見込んだ額)の調査義務は30条の2にありますが、違反しても、まず改善命令に向かう形になっています。刑事罰まで届くのは、その命令にも従わなかったときです。

記録のほうには直罰がある

審査の調査記録を作らないことには、命令を経ずに罰金があります。

記録の義務は、同じ30条の2でも4項にあります。

30条の2を開く

包括信用購入あつせん業者は、包括信用購入あつせんをするためカード等を利用者に交付し若しくは付与した場合又は利用者に交付し若しくは付与したカード等についてそれに係る極度額を増額した場合には、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、第一項本文の規定による調査に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

この記録を作らないこと、虚偽の記録を作ることは53条5号にあり、50万円以下の罰金が定められています。命令を経ずに罰金まで届きます。

読者にとっての意味は、審査の記録が会社に残っていることです。何を見て決めたかは公表されていませんが、調べたという記録は作られています。この2つは別のことです。落ちた場合の考え方は審査に通らなかったときにまとめました。

50万円で終わらない

罰金刑を受けたカード会社は登録を取り消され、5年を経過するまで登録を受けられません。53条の罰金は50万円でも、金額ではなく事業を続けられるかどうかの話につながっています。

登録を拒否する事由として、33条の2第1項6号がこう並べています。

この法律又は貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)の規定により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない法人

そして34条の2第1項が、この号に該当したときの扱いを定めています。

経済産業大臣は、登録包括信用購入あつせん業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。

「取り消さなければならない」なので、裁量の余地が書かれていません。同項1号が33条の2第1項6号を引いているため、罰金刑を受けた時点で登録が外れます。

苦情の受け皿も義務になっている

カード会社には、苦情を受けて処理する体制を置く義務があります。だから苦情は、まず会社の窓口に出します。そこで解決しなければ監督官庁です。

苦情の体制は30条の5の2が求めています。

30条の5の2を開く

包括信用購入あつせん業者は、利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益の保護を図るため、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、その包括信用購入あつせんの業務に関して取得した利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者に関する情報の適正な取扱い、その包括信用購入あつせんの業務を第三者に委託する場合における当該業務の適確な遂行及びその利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者からの苦情の適切かつ迅速な処理のために必要な措置を講じなければならない。

情報の取扱い、委託先の管理、苦情の処理の3つが並んでいます。苦情を受ける窓口を置くことは、会社の親切ではなく条文上の義務です。

信用情報の使い道にも刑事罰がある

信用情報を審査以外に使うことには、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金があります(50条2号)。調査を怠ることより重く扱われています。

禁じているのは35条の3の59第1項です。

35条の3の59第1項を開く

加入包括信用購入あつせん業者若しくは加入個別信用購入あつせん業者又はこれらの役員若しくは職員は、支払能力調査以外の目的のために加入指定信用情報機関に特定信用情報の提供の依頼(当該利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者に係る他の指定信用情報機関が保有する基礎特定信用情報の提供の依頼を含む。)をし、又は加入指定信用情報機関から提供を受けた特定信用情報を支払能力調査以外の目的に使用し、若しくは第三者に提供してはならない。

主語に「役員若しくは職員」まで入っています。会社だけでなく個人も名指しです。照会に同意を求められる理由は同意条項にまとめました。

見張るのは国だけではない

CICやJICCは、加盟している会社が情報を審査以外に使わないよう監督する義務を負っています。 35条の3の46が、指定信用情報機関に「必要かつ適切な監督」を求めているためです。自分の情報が目的外に使われたと感じたとき、行き先は監督官庁だけではありません。情報を出した機関の側にも、加盟会社を監督する立場があります。

機関そのものが義務を果たさない場合は、35条の3の54が経済産業大臣に指定の取消しや業務の停止、役員の解任を命じる権限を与えています。取り消したときは官報で公示することも同条2項に書かれています。

ここまでで分かること

  • 割賦販売法の監督は経済産業大臣と内閣総理大臣に分かれる
  • 内閣総理大臣の権限は48条2項で消費者庁長官へ委任される
  • キャッシングは貸金業法なので、金融庁・財務局の側になる
  • 監督は報告徴収から始まり、立入検査・改善命令・業務停止・刑事罰と進む
  • 調査義務そのものに直罰は無く、命令に従わないときに刑事罰へ届く
  • 調査の記録を作らないことには50万円以下の罰金がある
  • 罰金刑を受けると33条の2第1項6号に当たり、登録は取り消さなければならない
  • 取り消されると5年を経過するまで登録を受けられない
  • 苦情処理の体制を置くことは30条の5の2の義務
  • 信用情報を審査以外の目的に使うことは2年以下の拘禁刑まである

条文を確かめる先は割賦販売法です。

ここまでは法令に書かれている側の話です。**逆に、法令のどこにも出てこないのにあるものとして語られる手続きもあります。**その1つを条文と照らしたものがクレジットカードの在籍確認という制度は法令にないです。

この記事で確かめたこと

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