給油カードの審査ガイド

プリペイドカードの給油残高は原則返金されない

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2026/9/21公開

給油カードには、後払いのクレジットカードとは別に、先にチャージしておく「プリペイド式」のものがあります。審査が要らないため、クレジットカードの審査に通らない人の選択肢としてよく挙がります。一方で、規制している法律が違います。この記事はその違いのうち、「使わなくなった残高は返してもらえるか」を条文から確認します。

別の法律で規制されている(資金決済法3条)

これまでの記事で扱ってきたクレジットカードは割賦販売法の対象でした。プリペイド式のカードは、資金決済に関する法律(資金決済法)で「前払式支払手段」として定義され、別の規制がかかります。

全文を開く(371字)

証票、電子機器その他の物(以下この章において「証票等」という。)に記載され、又は電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。以下この項において同じ。)により記録される金額(金額を度その他の単位により換算して表示していると認められる場合の当該単位数を含む。以下この号及び第三項において同じ。)に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号(電磁的方法により証票等に記録される金額に応ずる対価を得て当該金額の記録の加算が行われるものを含む。)であって、その発行する者又は当該発行する者が指定する者(次号において「発行者等」という。)から物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの

長い条文ですが、要点は「先に金額に応じた対価を払っておき、あとから商品やサービスの代金の支払いに使えるもの」という部分です。給油カードでいえば、先にチャージした金額の範囲でガソリンや軽油の代金を支払える仕組みが、これに当たります。

発行者には情報提供の義務がある(13条1項)

前払式支払手段を発行する事業者には、利用者への情報提供義務があります。

前払式支払手段発行者は、前払式支払手段を発行する場合には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項に関する情報を利用者に提供しなければならない。

提供すべき事項の1つに、有効期間・期限があります。

全文を開く(104字)

物品等の購入若しくは借受けを行い、若しくは役務の提供を受ける場合にこれらの代価の弁済のために使用し、又は物品等の給付若しくは役務の提供を請求することができる期間又は期限が設けられているときは、当該期間又は期限

有効期限が設けられている場合は、それを利用者に示す義務があります。逆に言うと、有効期限が無い商品もあり、その場合はこの号の対象になりません。どちらであるかは、カードごとに公式サイトや利用規約で確認することになります。

払い戻しは原則できない(20条1項)

ここがいちばん誤解されやすい部分です。 使わなくなったから、残高を現金で返してほしいと思っても、条文はそれを原則として認めていません。

前払式支払手段発行者は、次の各号のいずれかに該当するときは、前払式支払手段の保有者に、当該前払式支払手段の残高として内閣府令で定める額を払い戻さなければならない。

「次の各号のいずれかに該当するとき」に払い戻しの義務が生じる、と条文は定めています。1号に挙がっているのがこちらです。

前払式支払手段の発行の業務の全部又は一部を廃止した場合(相続又は事業譲渡、合併若しくは会社分割その他の事由により当該業務の承継が行われた場合を除く。)

払い戻しの義務が発生するのは、発行者側がその前払式支払手段の発行業務をやめた場合が中心です。 保有者が「使わなくなったから返してほしい」と申し出ただけでは、この号には当てはまりません。

他にも、第三者型発行者の登録が取り消された場合や、内閣府令で定める場合が条文には挙がっていますが、いずれも発行者側の事情が起点になっている点は共通です。利用者側の都合による払い戻しは、この条文が求める義務の外にあります。

払い戻しをするときの手続きも決まっている(20条2項)

発行者が業務をやめて払い戻しの義務が生じた場合、発行者は好きなやり方で払い戻してよいわけではありません。

全文を開く(110字)

前払式支払手段発行者は、前項の規定により払戻しをしようとする場合には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を公告するとともに、当該事項に関する情報を当該払戻しに係る前払式支払手段の保有者に提供しなければならない。

公告と、保有者への情報提供の両方が義務づけられています。公告する事項の1つが、申し出の期間です。

当該払戻しに係る前払式支払手段の保有者は、六十日を下らない一定の期間内に債権の申出をすべきこと。

申し出の期間は60日を下回ってはいけません。 業務をやめる発行者が短い期間だけ告知して終わらせる、という形にはならない仕組みです。もっとも、この手続きが動くのは発行者が業務をやめた場合に限られます。使わなくなった保有者が自分から申し出て払い戻しを受けられる制度ではない点は、ここまでと同じです。

発行者がつぶれたときの残高(14条・31条)

発行者が倒産しても、残高がすぐに無くなるとは限りません。残高の一部を、発行者があらかじめ供託所に預けておく仕組みがあるからです。

14条1項が対象にするのは、基準日未使用残高(基準日に使われずに残っている残高の合計)が政令で定める額を超える発行者です。その発行者は、残高の2分の1以上の額を発行保証金として供託しなければなりません。銀行などとの保全契約や信託契約で代えることもできます(15条・16条)。

預けたお金からは、残高を持っている人が先に払ってもらえます。31条1項の原文です。

前払式支払手段の保有者は、前払式支払手段に係る債権に関し、当該前払式支払手段に係る発行保証金について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。

ただし、供託の義務がかかるのは残高の合計が政令の額を超える発行者だけで、額も残高の2分の1以上です。残高の全額が戻ると決まっているわけではありません。

なぜ原則禁止なのか

条文自体は理由を書いていませんが、制度の作りから分かることがあります。前払式支払手段は、現金の代わりに使える証票や記録を発行するものです。自由に払い戻しができる形にすると、実質的に資金の移動や現金化の手段として使われる余地が生まれます。資金決済法が原則禁止としているのは、そうした使われ方を防ぐ趣旨だと考えられます。

クレジットカードのキャッシング(現金の借入れ)が別枠で審査される理由の1つも、現金化そのものに対する慎重さです。キャッシング枠の扱いはクレジットカードのキャッシング枠とはにまとめています。プリペイド式のカードとクレジットカードは、現金の出入りに対して条文が慎重な姿勢を取る点で共通しています。

給油カードで確かめること

プリペイド式の給油カードを選ぶときは、次の3点を公式サイトで確認しておくと、あとから困りにくくなります。

  • 有効期限があるかどうか(13条1項3号の情報提供義務の対象になる項目)
  • 使わなくなった場合の扱い(原則は払い戻しの対象外という前提で読む)
  • 苦情や相談を受け付ける窓口の連絡先(同項4号でも情報提供が義務づけられている項目)

クレジットカードとの違いは、審査の有無だけではありません。規制する法律が違うため、トラブルが起きたときの制度上の扱いも異なります。クレジットカードの審査で聞かれることはクレジットカードの審査で会社が見ていることにまとめています。

この記事で確かめたこと

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