申込書の年収欄はどう書くのか
クレジットカードの申込画面には年収を入れる欄があります。源泉徴収票を用意すべきなのか、概算でよいのか、迷うところです。
経済産業省の割賦販売法FAQは、この点をはっきり書いています。
年収の調査は消費者の自己申告が基本です。証明書などの提出を求める必要はありません。
書類の提出を前提にした仕組みにはなっていません。 申告した数字がそのまま支払可能見込額の計算に入ります。
自己申告だからといって、盛れるわけではない
申告が基本であることは、数字を自由に決めてよいという意味ではありません。理由は2つあります。
1つは、審査で調べられることで見たとおり、年収は引き算の出発点にすぎないことです。差し引かれる側は申告で動きません。
消費者の総クレジット債務を調査するために「指定信用情報機関」に登録された情報を利用します。なお、信用購入あっせん契約を締結した場合には支払の状況等の情報を指定信用情報機関に登録しなければなりません。
他社の債務は照会されます。年収だけを大きく書いても、債務の側は登録内容のまま残ります。
もう1つは、申込内容の虚偽が各社の会員規約で解約や利用停止の理由に置かれていることです。規約の文言は会社ごとに違うので、申し込むカードの規約で確認してください。
生活維持費は自分では書かない
申込書には生活費を書く欄がありません。ここは法令の側で決まっています。
「生活維持費」は、利用者のプライバシー保護の観点から生計を一にする者の数、持家の有無などの状況などを基に省令で定めた金額又はFinTech等のサービスにより把握した生活維持費実費を算定に使用します。
申込書で世帯人数や住居の状況を聞かれるのは、この金額を引くためです。家計の実額を申告させない代わりに、条件ごとの標準額を法令で置いているという構造です。
同じ年収でも、同居している家族の人数や持家かどうかで差し引かれる額が変わります。節約しているかどうかは計算に入りません。
収入が自分にない場合
年収欄で最も困るのは、本人に収入がない場合です。ここには明文の配慮があります。
配偶者や親等「他の者」の収入により生計を維持している専業主婦(夫)や学生等の場合は、「他の者」の年収や預貯金を合算して支払可能見込額を算定することが可能です。ただし、算定の結果によってはクレジットカードが発行されない、又は、クレジットカードの更新の際に限度額が下がることがあります。
合算が「可能」であることと、発行が約束されることは別だと、同じ文の中で断ってあります。
なお、合算できる相手の範囲は平成30年6月1日に広がりました。それ以前は「二親等以内」に限られていましたが、家族形態の多様化を踏まえて撤廃され、生計を維持している関係があれば合算できるようになっています。
申込書で確認しておきたい欄
年収以外にも、計算に直接入る欄があります。
| 欄 | 何に使われるか |
|---|---|
| 世帯人数・同居家族 | 生活維持費の金額を決める |
| 住居の種類(持家か賃貸か) | 同上 |
| 住宅ローン・家賃の負担 | 同上 |
| 他社の借入状況 | 照会結果と突き合わせられる |
| 勤務先・勤続年数 | 各社の判断材料。法令の計算式には現れない |
前の4つは支払可能見込額の計算に直接入ります。最後の勤続年数は、法令の計算式には出てきません。各社が独自に見ている可能性はありますが、そこは公表されていないので確かめられません。
年収だけで決まるわけでもない
年収欄の重みを過大に見積もらないほうがよい理由もあります。経済産業省は、与信審査を次のように説明しています。
クレジットの与信審査は、収入、債務の他、返済履歴、商品の担保価値など様々な要素を総合的に勘案して行われています。
返済履歴が挙がっている点が実務的です。過去に契約したクレジットの支払いがどうだったかは、CICの開示で本人も読める形で登録されています。年収は申告できても、そちらは申告で動きません。
同じFAQは、自動車ローンについて「1年間の支払額が支払可能見込額を超えるクレジット契約でも締結することができます」とする例外にも触れています。用途や過去の利用状況、生活における必要性を調査したうえでの判断とされており、計算式の結果だけで機械的に決まる制度ではないことが読み取れます。
申し込む枚数について
短い期間に複数のカードへ申し込むと、そのたびに申込情報が登録されます。CICの開示で見たとおり、申込情報は照会日より6ヶ月間残ります。
各社がこの記録をどう扱うかは公表されていません。ただし、他社に申し込んだ事実が一定期間見える状態になることは、記録の仕様として確かです。
具体的なカードで年会費や発行までの日数を確かめる段階に来たら、apollostation カードの申込と年会費に発行会社の公表内容をまとめています。
申し込んだ結果が希望どおりにならなかった場合は、審査に通らなかったときに分かることを参照してください。