クレジットカードの在籍確認という制度は法令にない
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カードを申し込むとき、勤務先に電話が来るかどうかを気にする人がいます。
調べると「在籍確認はあります」「最近はありません」と、どちらの説明も出てきます。そこで法令を当たったところ、「在籍確認」という語がそもそも見当たりませんでした。
割賦販売法にも貸金業法にも出てこない
カードの審査に関わる法律を通して検索しました。結果はこうです。
割賦販売法
- 「在籍」0件
- 「勤務先」0件
貸金業法
- 「在籍」0件
- 「勤務先」3件
貸金業法施行規則
- 「在籍」3件
- 「勤務先」9件
同じ「在籍」でも、誰について言っているかが違う
施行規則に出てくる「在籍」は、貸金業者の営業所に経験者が在籍しているかという登録の要件で、申し込んだ人の勤務先の話ではありません。
つまり、法令が「勤務先に電話して在籍を確かめよ」と定めている条文は見つかりませんでした。
あるのは「調査しなければならない」だけ(割賦販売法30条の2・貸金業法13条)
法令が求めているのは「調べること」だけで、電話か書面かといった調べ方は決めていません。方法が決まっていないから、在籍の確かめ方は会社ごとに違います。
ショッピング枠については、割賦販売法30条の2が調査の義務を置いています。
割賦販売法30条の2を開く
年収、預貯金、信用購入あつせん(包括信用購入あつせん及び個別信用購入あつせんをいう。以下同じ。)に係る債務の支払の状況、借入れの状況その他の当該利用者の包括支払可能見込額を算定するために必要な事項として経済産業省令・内閣府令で定めるものを調査しなければならない。
キャッシング枠を付ける場合は、貸金業法13条の調査の義務が重なります。
貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない。
どちらも何を調べるかは挙げていますが、どうやって調べるかは書いていません。電話という手段も、書面という手段も、条文には出てきません。
書面で確かめる場面は明記されている
一方で、書面の提出を求める場面ははっきり決まっています。貸金業法は、次のどちらかに当たると源泉徴収票などの提出を受けなければならないとしています。
- その貸金業者からの借入れの合計が50万円を超える場合
- 他社を含めた借入れの合計が100万円を超える場合
電話より、書類のほうが条文にはっきり書かれています。キャッシング枠を大きく申し込むと、収入を証明する書類を求められるのはこのためです。
キャッシング枠そのものを付けないという選択もあります。クレジットカードのキャッシング枠は不要かに整理しました。
勤務先への電話が規制されるのは取立ての場面(貸金業法21条1項)
「勤務先」が貸金業法に出てくる箇所を見ると、審査ではなく取立ての規制でした。
正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
これは支払いが滞ったあとの話で、申し込みのときの話ではありません。審査のときの電話を禁じる規定は見当たりませんでした。
逆に言えば、返済が滞ったときに勤務先へ連絡が行くことは、正当な理由があれば起こりうるということです。引き落としに間に合わなかったときの流れはクレジットカードの支払い遅れで何が起きるかにまとめました。
調査の結果は信用情報機関にも残る
調査の方法は決まっていませんが、調査したという事実は記録に残ります。
割賦販売法も貸金業法も、調査のときに指定信用情報機関(国が指定した信用情報の機関)の情報を使うことを求めています。そして照会した事実そのものが、その機関に登録されます。
だから電話が来たかどうかとは別に、申し込んだ記録は残ります。短い期間に何枚も申し込むと、その記録が並んで見えることになります。
自分の記録に何が入っているかは開示で確認できます。手順は信用情報をCICで開示して読む、記号の読み方はCIC開示報告書の見方にあります。
会社に何をどこまで伝わるのか
勤務先に電話が来た場合、相手に何が伝わるのかも気になるところです。
貸金業法は、取立ての場面について、借入れの事実を本人以外に明らかにすることを禁じる規定を置いています。ただしこれも取立ての規制で、審査の電話についての定めではありません。
審査の電話でどこまで名乗るかは各社の運用になります。公表されている記載を見つけられなかったので、当サイトでは書きません。気になる場合は、申し込む前にその会社へ直接聞くのが確実です。
聞いて答えが返ってくるなら、それがいちばん確かな情報になります。公式FAQに書いていないことを、比較サイトの記述で埋めないでください。
発行会社は「あることがあります」としか書かない
発行会社も、勤務先への電話は「あることがある」としか書いていません。必ずあるとも、無いとも言っていないということです。
出光クレジットの公式FAQの記載です。
お申し込み内容の確認などでご自宅や勤務先へお電話を差し上げることがあります。
法令が方法を決めていない以上、会社としてもこう書くしかありません。
「最近は在籍確認が無くなった」という説明を見かけますが、無くなったと公表している会社の記載を確認できませんでした。減っているのかどうかも、統計を見つけられていません。ここは断定できません。「必ずある」も「もう無い」も、公的な裏付けを見つけられませんでした。分かるのは方法が決まっていないということです。
申込条件の公表のされ方そのものはapollostationカードの審査と申込条件で扱っています。
申し込む前にできること
電話が来るかどうかは事前に確定できません。できるのは次の3つです。
- 勤務先の名称・電話番号・部署を正確に書く
- 記入もれや誤字を作らない
- 収入の申告を実態と合わせる
申込内容の確認が目的なので、内容が正確なら確認そのものが要らなくなる可能性があります。公式FAQも「お申し込み内容の確認など」と書いていて、確認が目的だと示しています。
年収の書き方はクレジットカードの年収は何を書くかに整理しました。
なお、電話があった場合でも、社名を名乗らず個人名でかけてくる運用が知られています。ただしこれも法令の定めではなく各社の運用なので、当サイトでは断定しません。
申込フォームで勤務先の何を聞かれるか
電話が来るかどうかは会社ごとに違いますが、入力する項目は申込前に分かります。
このサイトが載せているリクルートカードは、申し込み方法のページで入力する内容をこう説明しています(2026年8月30日確認)。
住所、電話番号、生年月日、ご職業などのご本人様情報と、お勤め先の所在地、電話番号、資本金、従業員数、入社年月、年収など、お勤め先情報を入力いただきます。
勤務先の電話番号だけでなく、資本金と従業員数と入社年月まで入ります。つまり在籍の確認は電話に限らず、入力された情報の整合そのものが見られていると考えるほうが自然です。
これらは手元に資料が無いと答えられない項目です。上で見たとおり方法は法令で決まっていないので、先に調べておくと申し込みが止まりません。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 5件
- 出典
- 4件(法令 2)
- 公開
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。