携帯の分割は審査の義務がカードと違う
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スマートフォンの本体代を24回に分けて払う契約は、クレジットカードと同じ扱いなのか。
同じ法律の中にはいますが、同じ類型ではありません。そして類型が違うと、事業者にかかる義務が変わります。
端末の分割払いは「割賦販売」にあたる
通信会社から端末を24回払いで買う契約は、割賦販売法の「割賦販売」にあたります。分割の手数料が無料でも変わりません。
割賦販売の定義は、割賦販売法2条1項1号の次の文です。
割賦販売法2条1項1号を開く
購入者から商品若しくは権利の代金を、又は役務の提供を受ける者から役務の対価を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領すること(購入者又は役務の提供を受ける者をして販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)の指定する銀行その他預金の受入れを業とする者に対し、二月以上の期間にわたり三回以上預金させた後、その預金のうちから商品若しくは権利の代金又は役務の対価を受領することを含む。)を条件として指定商品若しくは指定権利を販売し、又は指定役務を提供すること。
条件は「二月以上の期間」と「三回以上に分割」と「指定商品」です。24回払いは前の2つを満たします。残るのは指定商品かどうかで、これは政令が決めています。
割賦販売法施行令の別表第一の三十四に、こう並んでいます。
電話機及びファクシミリ
スマートフォンは電話機なので、ここに入ります。手数料の有無は条文の要件になっていません。
クレジットカードは別の類型にいる
クレジットカードで買う取引は「信用購入あつせん」という別の類型で、その中の包括信用購入あつせんにあたります。分かれ目は、代金を売り手に渡す第三者がいるかどうかです。
同じ類型のうち、カードを使わない個別信用購入あつせんを、割賦販売法2条4項が次のように定義しています。
割賦販売法2条4項を開く
この法律において「個別信用購入あつせん」とは、カード等を利用することなく、特定の販売業者が行う購入者への商品若しくは指定権利の販売又は特定の役務提供事業者が行う役務の提供を受ける者への役務の提供を条件として、当該商品若しくは当該指定権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部に相当する金額の当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該購入者又は当該役務の提供を受ける者からあらかじめ定められた時期までに当該金額を受領すること(当該購入者又は当該役務の提供を受ける者が当該販売業者から商品若しくは指定権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く。)をいう。
読みどころは「当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付」です。代金を売り手に渡す第三者がいることが要件になっています。
通信会社が自分で端末を売り、自分で24回に分けて受け取る形には、その第三者がいません。だから個別信用購入あつせんではなく、1項1号の割賦販売のほうに入ります。
端末を通信会社の分割で買う
- 売り手と受け取る側が同じ会社
- 2条1項1号の割賦販売
- 対象は指定商品に限られる(電話機は入る)
クレジットカードで買う
- カード会社が売り手に代金を渡す
- 包括信用購入あつせん
- 指定商品の限定は無い
代金を立て替える第三者がいるかどうかで、当てはまる条文が変わる
義務がかかっているのは、あっせんの側だけ
端末の分割払いには、信用情報を照会する義務も、登録する義務も、法律ではかかっていません。ここが読者にとっていちばん効くところです。
35条の3の3第3項は、個別信用購入あつせん業者について定めています。
個別信用購入あつせん業者は、第一項本文の規定による調査を行うときは、指定信用情報機関が保有する特定信用情報を使用しなければならない。
ここでいう指定信用情報機関は、国が指定した信用情報機関のことです。30条の2が包括信用購入あつせん業者に同じ形の調査義務を置いていて、審査で調べられることで扱った支払可能見込額(年収から生活費などを差し引いて、払えると見込まれる額)の調査がこれにあたります。
登録の側も同じ構図です。35条の3の56第2項はこう書いています。
35条の3の56第2項を開く
加入包括信用購入あつせん業者又は加入個別信用購入あつせん業者は、購入者又は役務の提供を受ける者を相手方とする包括信用購入あつせん関係受領契約又は個別信用購入あつせん関係受領契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約に係る基礎特定信用情報を加入指定信用情報機関(特定信用情報提供契約を締結した指定信用情報機関をいう。以下同じ。)に提供しなければならない。
主語はどちらも「包括信用購入あつせん業者」と「個別信用購入あつせん業者」です。割賦販売業者は入っていません。
端末の分割払いを売る割賦販売業者は、どちらの義務の対象でもありません。
割賦販売業者にも義務はある。中身が違う
調査と登録の義務が無いというだけで、何も課されていないわけではありません。4条1項が、割賦販売業者に書面の交付を義務づけています。
4条1項を開く
割賦販売業者は、第二条第一項第一号に規定する割賦販売の方法により指定商品若しくは指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約を締結したときは、遅滞なく、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、次の事項について当該契約の内容を明らかにする書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
書く項目も号で並んでいます。割賦販売価格、賦払金の額、支払の時期と方法、商品の引渡時期、契約の解除に関する事項、所有権の移転に関する定めがあるときはその内容。
このうち読者が後で困りやすいのは、所有権の移転の欄です。分割の途中で端末の所有権が誰にあるかは、契約の書き方で変わります。7条が所有権の推定を置いていますが、施行令3条がその対象から一部の指定商品を外しているので、自分の契約がどちらなのかは交付された書面で読むことになります。
契約の解除に関する事項も、この書面で確かめる場所です。途中で解約したときに残りの端末代がどうなるかは、法律ではなく契約が決めます。
それでも記録は残りうる
義務が無くても、記録が残ることはあります。通信会社がCICの会員になっていれば、端末の分割も登録されます。
CICは、登録される項目が契約によって違うことを次のように説明しています。
法律の定めがある場合、およびご契約の形態やお支払いの状況によって登録される項目は異なりますので、必ずすべての項目が登録されているわけではありません。
登録するのは加盟している会員です。法律ではなく、その会社が加盟しているかどうかで決まります。
だから「携帯の分割が信用情報に載るか」は、一般論では答えが出ません。自分の場合にどうなっているかは、CICの開示で実際に見るのが確実です。
何が見られているかは公表されていない
端末の分割払いの申し込みで通信会社が何を見ているかは、公表されていません。支払可能見込額のような、法律が計算方法まで決めている枠組みが無いからです。
そのため「何回遅れたら通らない」といった線は、外からは分かりません。クレジットカードの審査に落ちたときで扱ったのと同じで、分かるのは記録の仕様のほうだけです。
支払いが遅れたときに何が起きるかはクレジットカードの支払い遅れで何が起きるかにまとめました。
カードを申し込むときは、逆に調査の義務があるぶん、何を聞かれるかが決まっています。年収と支払状況の申告がそこに入ります。何をどう書くかはクレジットカードの申込書の年収欄はどう書くのかにまとめました。
この記事で確かめたこと
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