信用情報の開示を求められる根拠は割賦販売法ではない
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信用情報の開示は、カード会社や信用情報機関の案内に沿って進めます。手続きはそちらのページで足りますが、根拠がどこにあるかは別の話です。断られたときや、返事が来ないときに何を言えるかは、根拠の側で決まります。
割賦販売法には「開示」という語が1度も出てきません。法令APIで全文を取って数えると0件です。
割賦販売法が決めているのは使う側の義務
割賦販売法が、国が指定した指定信用情報機関について定めているのは、加入する業者が調査のために情報を使う義務と、使ってよい目的の制限です。調査の義務はクレジットカードの審査で調べる支払可能見込額にあります。年収から差し引いて、いくらまで払えるかを見るものです。目的の制限は信用情報の開示で扱っています。
どちらも事業者に向けた条文で、本人が情報を見るための規定ではありません。
開示を求める根拠は個人情報保護法33条
本人の側から請求できる根拠は、別の法律にあります。個人情報保護法33条1項です。
本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの電磁的記録の提供による方法その他の個人情報保護委員会規則で定める方法による開示を請求することができる。
信用情報機関も個人情報取扱事業者なので、この条文の相手方に入ります。CICやJICCが開示の手続きを用意しているのは、この請求に応じるためのものです。
2項の本文は、請求を受けたら遅滞なく開示しなければならないとしています。ただし書きに例外が3つあり、本人または第三者の権利利益を害するおそれがある場合、業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、他の法令に違反することとなる場合です。
手数料を取れることも条文にある
開示が有料なのは、事業者が勝手に決めているわけではありません。38条1項です。
個人情報取扱事業者は、第三十二条第二項の規定による利用目的の通知を求められたとき又は第三十三条第一項の規定による開示の請求を受けたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。
開示の請求だけでなく、32条2項の利用目的の通知を求めた場合も対象です。2項が、実費を勘案して合理的と認められる範囲内で額を定めなければならないとしています。上限額そのものは条文になく、実費が基準になります。
「間違っている」ときは別の条文
開示して内容が違っていた場合、使うのは33条ではありません。34条1項です。
34条1項を開く
本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないときは、当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を請求することができる。
要件は「事実でないとき」です。評価や判断ではなく、事実の誤りが対象になります。支払った日が違う、契約していない契約が載っている、といった話がここに入ります。
| 何をしたいか | 条文 | 要件 |
|---|---|---|
| 内容を見たい | 33条 | 本人であること |
| 事実の誤りを直したい | 34条 | 内容が事実でないこと |
| 使用を止めたい | 35条 | 違法な取扱いまたは取得 |
35条は利用停止で、18条・19条に違反して取り扱われているとき、または20条に違反して取得されたものであるときが要件です。取扱いや取得が違法だったことが前提なので、いちばん要件が重くなります。
延滞や破産があったときに付く「異動」の記録を消したい、という相談はここに当たりますが、正しく登録された記録は違法な取扱いではないので、35条では動きません。保有期間が過ぎるのを待つことになります。期間はブラックリストの確認にまとめました。
順番としては33条が先に来ます。34条は「事実でないとき」が要件なので、何が登録されているか分からないまま訂正を求めることはできません。まず開示して、内容を見てから次を決めることになります。
正確性については、割賦販売法の側にも定めがある
個人情報保護法34条は本人が請求する側の条文ですが、機関の側にも正確さを保つ仕組みが置かれています。割賦販売法35条の3の43第1項です。
指定信用情報機関は、特定信用情報提供等業務に係る次に掲げる事項に関する業務規程を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
その各号に何を入れるかが決まっていて、4号が特定信用情報の正確性の確保に関する事項、9号が苦情の処理に関する事項です。正確さと苦情の窓口は、機関が自分で決めてよい話ではなく、業務規程に入れて認可を受ける事項です。
だから訂正の求めに応じないという扱いは、個人情報保護法だけの問題では終わりません。やりとりが行き詰まったときは、この条文があることを踏まえて監督官庁の側に相談する道もあります。相談先はクレジットカードの監督官庁の分かれ方にまとめました。
加盟している会社に対しても請求できる
請求先は信用情報機関だけではありません。カード会社も個人情報取扱事業者なので、その会社が持っている自分のデータについて33条の請求ができます。
見えるものが変わります。信用情報機関に登録されているのは、機関が定めた項目に整理された情報です。カード会社の側には、申込書に書いた内容や社内での記録が残っています。
信用情報機関
- 機関の項目に整理された登録情報
カード会社
- その会社が保有しているデータ
違うのは誰が持っているデータか。審査に落ちた理由は、どちらに請求しても出てくるとは限らない
審査に落ちた理由が知りたい場合、どちらに請求しても出てくるとは限りません。 33条2項2号の「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に当たるとして、判断の過程が開示されないことがあります。理由が説明されない仕組みそのものは審査に落ちたときに分かることにまとめました。
保有個人データに当たるかどうか
請求できるのは保有個人データです。定義は16条4項にあります。事業者が開示や訂正や利用停止を行う権限を持つ個人データが対象です。そのうち、存否が明らかになることで公益その他の利益が害されるものは除かれます。何が除かれるかは政令が定めます。
除外は政令の側にあるので、法律だけを読んでも何が外れるかは決まりません。実際にどう扱われるかは、請求してみて返ってくる通知で分かります。
返事が来ないこと自体が条文の外
請求したのに何も来ない場合の扱いも決まっています。33条3項です。
33条3項を開く
個人情報取扱事業者は、第一項の規定による請求に係る保有個人データの全部若しくは一部について開示しない旨の決定をしたとき、当該保有個人データが存在しないとき、又は同項の規定により本人が請求した方法による開示が困難であるときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
開示しないと決めたとき、データが存在しないとき、請求した方法での開示が難しいとき。3つとも通知の対象です。「登録が無いから返事が無い」は条文の想定にありません。
だから待っても何も来ないときは、条文を挙げて通知を求めることになります。そのやりとり自体が、あとで相談するときの材料になります。
ここまでで分かること
- 割賦販売法に「開示」の語は1度も出てこない。事業者の義務を定める法律
- 本人が開示を請求できる根拠は個人情報保護法33条1項
- 手数料を取れることも条文にある。実費を勘案した範囲内(38条)
- 事実の誤りは34条、違法な取扱いは35条で、33条とは要件が違う
- 正しく登録された記録は35条では消えない。保有期間を待つことになる
- 開示しない場合も存在しない場合も、遅滞なく通知する義務がある(33条3項)
最後の1行にある保有期間は、機関ごとに違います。3機関の登録期間と、期間が過ぎたあとに何が起きるかは信用情報の回復という手続きは無いにまとめました。
この記事で確かめたこと
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